AbudoriLab.です。
このシリーズではJetsonとその周辺機器を揃え、深層学習を用いた物体認識手法のYOLOを試してみるところまでをまとめます。
ここではJetsonを用いた開発を行っていくことを見越して、それに必要な本体と周辺機器について紹介します。
Jetson
JetsonとはNVIDIAが販売しているシングルボードコンピュータ(SBC)になります。*1
NVIDIA提供の並列プログラムアーキテクチャ(CUDA)で書かれた数々のソースコードをJetsonでもそのまま転用できるので、演算性能を劇的に増大できます。
そのため比較的簡単に分散コンピューティングが実現でき、リアルタイム性の高いデータ処理が可能になります。
また、JetsonにはNano, TX, XAVIERの3タイプが存在し、用途に合わせて選択することができます。
タイプ毎のスペックを詳しく知りたい方向けに性能比較や選び方がまとめられた記事をご紹介しておきます。
www.macnica.co.jp
- Jetson Nano
AbudoriLab.ではエントリーモデルのJetson Nanoを購入しました。
消費電力が低く、手のひらサイズの大きさで1万円と低価格にも関わらず性能も既存のDNNベースの画像認識器を遊んでみる程度には十分とコストパフォーマンスが高い商品です。
初期モデルは4GBメモリ版のみでしたが、2GBメモリ版が発売されて遂に1万円を切りました。使用用途によってはメモリは多いに越したことはありませんが、2GB版は大変お得なので2台購入してIoT的なことをやっても面白いかもです。
ただ、2GB版はUSBポートの個数が少なかったり電源供給のポートはType-Cになったりと4GB版と違いがあるみたいで、用途次第ではUSBポートの拡張ポートを追加購入する必要があることに注意が必要です。
周辺機器
RaspberryPiに触れたことがあるかたならご存知かもしれませんが、周辺機器を入念に揃えた方が今後の作業がスムーズになります。
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ケースとファン
ケースはなくても問題はありませんが、静電気でSDカードのデータが飛んでOSから入れ直しになることを避けたい人には必要です。
また、GPUをガンガン使いたい人はファンは必要になります。
GPUを使うとRaspberry Piと同様に排熱が追いつかないため、かなり大きめのヒートシンクを積んでいます。
NANOに関してはファンは5Vなものでないと動作しないことに注意です。
ケースに対応したファンとセットで販売されているので、セット品の購入をおすすめします。
写真もセット品であり1,300円と激安品ですが、すぐにはGPUに高負荷計算させることはないのでしばらくこれで十分です。
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Wifi USBドングル
NANOのデメリットは、Wifiモジュールが搭載されていないことです。
バッテリーで駆動させたり、あちこちに設置したりすることを考えると有線LANしか使用できないのは大変不便ですので購入することをオススメします。
古いものだとUbuntuの標準ドライバで動作しないこともあるので、少し高くても最近のものを購入したほうがよいです。
tp-linkのドングルはドライバを入れなくても動作することを確認済みです。
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ACアダプタ
NANOの給電方法はUSB(4GBはmicro-B, 2GBはType-C)とDCジャックの2通りになります。
ただし、USB給電だと電力制限がかかりパフォーマンスが落ちるため、DCジャック一択になると思います。
動作モードは10Wですが、余裕をもって5V4Aの20W電源が推奨されています。
写真の電源であればXivierにステップアップした時も流用できるのでオススメします。
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RaspberryPI CameraV2
勝手な想像になりますが、NANOを使う人の大半は深層学習を試してみることが目的だと思っています。
NANOではRaspberry Piカメラを基本的にはそのまま流用できます。
Raspberry Piならば文献量も多く、すぐにできることも多いためオススメです。
MIPI接続のRaspberry Piカメラ(ただしV2以降)が使えることは確認できており、それを使用しています。もちろんお手元のWEBカメラでも動作します。
Raspberry Pi IRカメラもありますので、間違いないように注意が必要です。
ちなみに画像のように私は間違って購入してしまいました。
- ジャンパー
NANOの電源はUSB入力とDCジャック入力の二つになりますが、電力制限のないDCジャック電源を使うには基板上のDC EN(Enable)ピンをショートさせる必要があります。
そのピンをショートするジャンパーを購入しましたが、購入した基板がマイナーチェンジ済でピンにショート用のジャンパーが片刺しで付属されていました。
これから購入する人は別途で用意する必要はないようです。
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ミニディスプレイ
10.2インチで格安なミニディスプレイを購入しました。
NANOやRasberry PiもHDMI出力なので普段使いのディスプレイを代用できますが、差し替えに手間取ったりweb検索で表示を切り替えるのに不便なので別に準備することをオススメします。
また、試しに遠隔地に置いてみたりロボットに搭載したりすることもあるかと思うので、あちこち移動しながら使うことを想定して小型モニターがとても便利です。
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無線キーボード&マウスセット
ミニディスプレイと同じ理由でキーボードやマウスも専用に準備したほうがとても便利になります。
特にワイヤレスの商品がオススメです。
NANOを移動ロボットに搭載して操作するとき有線だとわざわざ接続に向かう必要があるので、トラックパッド付きの無線キーボードを選んでおくと大変便利です。
そして、無線キーボード・マウスはbluetoothなどのドライバが不要な商品がいいです。
今後、OSのセットアップやリカバリーモードをいじる頻度が多くなります。
そのときにドライバが必要になると接続できなくなるので、なるべくシンプルなものの選択をオススメします。
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紹介商品一覧
今回紹介した商品の一覧です。
商品 |
型番 |
値段(2021年7月時点) |
URL |
Jetson nano 2GB版 | NVIDIA-JETSON-NANO-2GB | 8789 |
※半導体不足に伴い、売り切れの可能性があります |
NVIDIA Jetson Nano ケース 冷却ファン付き |
1398 | ||
Wifi USBドングル | TL-WN725N | 713 | |
ACアダプタ | GPE024L-050400-6 | 1580 |
SUCCUL ACアダプター 5V 4A 大手メーカーOEM社製品 センタープラス スイッチング式 最大出力20W 出力プラグ外径5.5mm(内径2.1mm)PSE取得品 |
RaspberryPI CameraV2 | UD-PRCAMERA | 5173 |
Raspberry Pi カメラモジュール【Raspberry Pi Camera V2】
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ミニディスプレイ 10.2インチ | お好みの商品を購入してくだい | ||
無線キーボード | TK-FDP099TBK | 2375 |
エレコム キーボード ワイヤレス (レシーバー付属) パンタグラフ コンパクトキーボード ブラック TK-FDP099TBK |
無線マウス | M-FBL01DBXSBK | 1599 |
エレコム マウス ワイヤレス Mサイズ 5ボタン(戻る・進むボタン搭載) BlueLED 握りの極み ガンメタリック M-XGM10DBBK/EC |
*1:むき出しの基板の上にプロセッサー、周辺部品、入出力インタフェースとコネクタを付けただけの簡素なコンピュータであり、Raspberry Piもそれに当たります